負の歴史を正視し、芸術の力を展開

 ここ数年、「台湾美術ビエンナーレ」は社会、文化、歴史、エスニシティ、環境の変遷などの議題の下における台湾の現代芸術に対し、台湾の文化、エスニシティ、アイデンティティの脈絡の中で、現代芸術の分類、弁証、定義づけを絶えず進めてきました。2018年の「台湾美術ビエンナーレ」では、台湾の現代芸術を政治的なアイデンティティの展覧から一線を画し、定義づけの難しい「台湾現代芸術」を、過去の植民と移民の歴史、「国家」と「民族」の根源を積極的に追求してきた民族主義精神が絡み合う中から解放し、「何が台湾なのか?」について新たな考えを展開しました。

 同ビエンナーレでは、芸術史のパラダイムシフトに呼応するほか、漢民族を主流とする文化では馴染みのない台湾先住民の芸術創作、および20、21世紀の悲惨な歴史にも目を向けました。