展覧会のご紹介

 2019 年ICOM の年度テーマは、「文化をつなぐミュージアム-伝統を未来へ-」(Museums as Cultural Hubs: The Future of Tradition)です。博物館は文化の高度な視野を広げてきました。国立故宮博物院が所蔵する中華の精緻な文物は世界にその名を揚げ、今年で九十四年目を迎え、正に、未来を展望し自らを発見する重要な時点となります。清王朝が収蔵してきた貴族品位を、如何に世界の潮流に応え、また如何に社会の変遷にフィードバックするかが博物館の社会に於ける実践能力が問われると同時に、国民をデジタルの斬新な時代へと向かわしめるのです。

 この度の展示ホールの設計は、「多宝格」の巧みな構想から来ており、入れ子や引き出しの概念から展開成型し、故宮のデジタル科学技術により、視覚の衝撃と景観の浸透視覚にピントを合わせています。文物の信憑性のある鑑賞と比べて、科学技術工具の解釈は、域を脱して無限の想像をかきたてます。科学技術を以て、中華収蔵物の研究成果を実践し、デジタルVR の伸展転化を運用することで、画中の千古の風情をして、その場に住み、遊び、好きなように行き来したり、つまんだりすることもできます。工具の応用の加速普及につれて、古画の世界は遠い存在ではなくなりました。全台湾の各都市や辺鄙な地を巡回するだけではなく、世界をも思いのままに駆け巡り、台湾文化の科学技術島の人に誇れる成就を示しています。

 新博物館学の観点からこれを見るに、収蔵資源は文化公民権益が公共化するにつれて、博物館の教育推進型態も、日に日に多元化且つ特色を備えるようになり、個別的な主体の作品は徐々に片隅に追いやられ、存在が薄くなっていますが、博物館のデジタル展覧探索を通して、人々が自分への対話を取り戻すと同時に、この提議を基に自己の潜在意識に浸透し、実践する重要な趨勢となっています。

 展覧が絶えず拡大伸展とマクロの発展変化の下、個人のミクロ的な考えが感じる生命の経験と博物館の多様な呈示が互いに影響しあい、明らかに珍貴さを満たし、伝統的な未來は、人々の感情の交流から分かち合いの喜びが見えるでしょう!

虛擬画瓶花AR擴增實境

 1995年、香港城市大学の邵志飛教授の先駆的なバーチャルアート作品「The Golden Calf」(金の子牛)を基に、郎世寧(ジュゼッペ・カスティリオーネ)の作品-〈聚瑞図〉および〈画瓶花〉を、実物大のバーチャル立体模型で展示しています。タブレットPCを通して、参観者は二つの台板を取り囲みながら、バーチャルの立体の花瓶を鑑賞することができ、更に花瓶を手のひらに乗せて、郎世寧が詳細に描いた中国と西洋混合の色鮮やかで生き生きとした花瓶の中の花を鑑賞することもできます。

游魚転心瓶8Kフィルム

 故宮と台湾シャープが共同で創出した8K文物フィルムは、8Kの画質で故宮所蔵の「清 乾隆 霽青描金游魚転心瓶」の精緻な工芸の美を映し出しており、外瓶の霽青釉上には金釉で細かに上絵が施され、更に内瓶には水草・魚紋が完璧に描かれ、生き生きとして真に迫っており、8K技術とデジタル科学技術の文物保存に対する重要性を示しています。今後も故宮は、文物シリーズのフィルムを撮り続け、8K技術を博物館芸術教育工作に於いて応用して参ります。

主題映画

 故宮もまた科学技術を応用して、重要な収蔵品文物の精緻できめ細かい質感の映画、或いは立体魔幻のアニメーション映画に転化し、参観者を奥深く更に理解しやすく文物の美を鑑賞できるよう導いています。この度上演する映画にはまず、《うつつとまぼろしの間—感知世界と物理世界の対話を感知》4K映画影片が挙げられます。これは、時代を越え、領域を超える先見性のある作品で、故宮の初となる中国芸術と西方科学理論を結合した大胆な試みの作品です。次は《筆墨の旅》で、中国の伝統工芸技術の伝承と指向の革新を呈しており、古代書画と現代の対話を開き、多様な解釈の風貌を創造しています。この他、若者達を惹きつける為、故宮は豊富な文物の故事の題材を以て、擬人化した特殊効果手法を運用し、《国宝星遊記》、《国宝神獣闖天関》、《国宝娃娃歴険記》など、国宝国宝娃娃(人形)シリーズ高画質アニメーション映画を発表し、近年故宮が教育に引用する上での革新と進展の歴程をご紹介しております。

VRバーチャルリアリティのアート体験

 2015年より、故宮はバーチャルリアリティ技術のトップを行くメーカー、HTCと共同で、多くの精彩なVR芸術作品を開発してきました。この度の展覧には、《清院本清明上河図》を原本とした「清明上河図シリーズVR」の展示も含まれており、プレーヤーは作品中の人物、街頭の風景、建築、民俗活動を詳細に鑑賞できると同時に、作品の中で、インタラクティブなゲームを楽しむこともできます。故宮所蔵の唐代懐素の奔放な草書の名作-〈自敘帖〉から題材を得た「自敘心境VR」は、世界初となる書法没入型デジタル環境装置です。「神遊幻境絵画VR」は、故宮が所蔵する趙孟頫の〈鵲華秋色〉が源になっています。体験者は趙孟頫が描いた山東省済南秋の景色の中をのんびりと心静かに、思うまま過ごすことができます。故宮のVRバーチャルリアリティ芸術の体験は、人類の歴史と科学技術のインベーションと応用が結合した成果を大いに示しています。

典藏文物

注目の展覧